ここまでのブログを掲載していたホストのdesign-hugが8月31日で閉じることになったため、以前に書いたものをここに集めて『huggable – 抱きしめたくなる』と名付けました。

どうぞよろしくお願いします。

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I have written as one of bloggers for ‘design-hug’ blog since 2008.  The hosting website is closing at the end of August – so, I have moved all the contents here in my new blog – huggable.

ロンドン中心部にお買いものに行って、あるビルの入り口の床材を張り直しているところを発見。色付きの陶土を小さなタイルにしたもので、約150年ぐらい前のヴィクトリア時代に流行した様式です。ビルが建てられた年代に併せ、復元しているもよう。

小さめのタイルを均一な目地幅を残して綺麗にレイアウトするのは職人技ですが、今でもその技術が残され使われているのが素晴らしい。

下の写真は改築中の別のビルで、もともとあった木製の手すりを一度外し、掃除と修復を施して元の壁に戻したところです。こういう修復は、新しいものを取り付けるよりも手間ひまがかかって施工コストも工期もかさみますが、それを受け入れて建物の歴史を新しい内装に残すことに決めた施主の意識の高さに拍手をおくります。

I respect people to pay a little more to retain a memory of a place – they help to succeed arts by fabricators and builders, too.

The two top picture are from an Victorian building in central London, where the floor is restored with original method of mosaic tiles.  The above picture is a handrail, which was taken down once to be cleaned and restored, then put back to the original wall after the whole staircase was refurbished.

お気に入りのカフェで、野菜プレート(小)とパンを食べる。カトラリーはDavid Mellorの’Café’シリーズ。でもこのカフェ、近ごろとっても混んでいて、並ばないと座れないこともあるのです。なので、場所はひ、み、つ!

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My favourite Veg Plate ( small ) with bread at my favourite cafe in central London.  It is getting really busy these days and I have to queue up to sit down sometime.

ずっと昔にインターンとして勤めてくれたデザイナーが関わった「ツリーハウス」を見に行きました。那須の二期クラブの庭、渓谷に流れる川沿いの場所。

木に寄りかかり、その構造に助けを借りながらもできるだけ傷つけないよう工夫された木の上の家は、中に小さな薪ストーブとソファーもあって、川を見下ろす大きな窓が開いたとても心地のよい場所でした。

那須は朝夕に涼しい風が吹き、さすがの避暑地でした。けれど、有機野菜マーケットですら野菜の放射能残留値を示さないと安心できなかったり、牛乳が売れなくなって酪農家が閉じたりと、3.11の影響を受けつづけています。ある場所の、永年つちかわれた文化をじわじわと壊してしまう可能性のある、そんなエネルギー政策はほんとうに見直す必要がある、そう感じた旅でした。

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I visited a treehouse, which is built on a garden of Niki Club in Nasu, Japan.  The treehouse is relying on the structure of a tree, but carefully avoiding to damage the tree.  In the room there is a little wood stove, a sofa and a large window for you to look down a little stream beside the tree.

Nasu was originally opened by Europeans who wanted to escape hot Tokyo during the summer.  Now the area has the Hot Spot problem since the Fukushima nuclear power plant was damages by Tsunami in 2011 – somehow, the wind delivers high concentration of radioactive contaminant to the area.

I think it is urgent to raise awareness for changing energy policy of Japanese government.  It is so obvious that they cannot continue to build and run fragile nuclear power plants on shaken island and destroy their indigenous culture attached to local lives.

エリザベス女王の戴冠60年記念のお祝いで、街中にユニオンジャックがひるがえっています。ショップのディスプレイにも国旗がはたはたと。ちょっと食傷気味ではありますが、中にはセンス良い飾り付けもあって、そういうのを見つけると嬉しい。赤、青、白の三色の紙でブーケを作って飾っただけなのだけど、古い手押し車との組み合わせが素敵で、なぜかイギリスぽい。

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Golden Jubilee decoration is found everywhere in town.  A little sick of seeing all of those flags fluttering… but some of the shop windows make me smile.  This one is subtle and nice – just three coloured paper flower, but choice of what they are on is rustic and nice.

新年あけましておめでとうございます。今年は「変化の年」にする予定です。さて、いつ本当に変化が訪れるのか、、、。それは、またご報告したいと思います。

みなさんにとって、穏やかで実りの多き一年になりますよう。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

I wish you all have a happy new year of 2012.  I am thinking to make a big change this year… will tell you about what to change in the later this year – I hope!

Have a prosperous and peaceful year.

年の始めに「今年はもう少しアップします」と記したのに、ブログの更新は2月以上の間隔が空いてしまいました、、。見たもの、行った場所から考えたことがたくさんあるのに、どこから手をつけたらいいの?という感じなので、師走になった今、まずは今年の「発見」から。

一つ前のポストで触感について書きましたが、 触覚とあわせて最近とても興味があるのが「嗅覚」です。デザイナーとして「視覚の快適さ」をいつも意識していますが、嗅覚は忘れられがちだなぁ、とふと思い、ではもしも「匂いのランドスケープ」についてもっと意識したら世界はどう見えるかな?と思った。そんな時に手にとって、面白い世界の見方(かぎ方?)を教えられたのが、この本です。

『調香師の手帖(ノオト)』-香りの世界をさぐる-
中村祥二著・朝日文庫 2008年出版

資生堂で長年香りについて研究をし、香水を調香する専門家としての著者が「香りやにおいをめぐる新しい心の文化を模索しようという人たちのために、何らかの意味を持てば」という意図で書き下ろされた随筆です。自身の体験からつむがれた言葉で匂いについて説明したい、とあとがきで語られているように、読みすすむと追体験をしているような錯覚にかられ脳内に匂いが立ちこめる。それがわたしの楽しい読書体験でした。

そして、この本をガイドとして少し実体験をしてみているところです。

ひとつは全く未知の世界だった香水に手を出し始めたこと。
文中で触れられていたある香水の「単一のウッディー・ノートを特徴にした上品で優雅な香り」というものをかいでみたく、そして香水は「身にまとって」みないとその効果を感じられない、ということばに納得し購入。あまりにもビギナーで経験が浅く、他のものとの比較がまったくできないこともあり、感想は「うーん?」というところ。西洋人だと、自分の体が発する匂いと混ざっていわくいいがたい香りになるのかなぁ、わたしは香水に負けている?という気がするのです。もしかすると、香水は自分が楽しむというよりも、同席する他の人たちに向けたメッセージなのかも?と思ったり。

もうひとつは、近年たのしんでいたお香の世界にもう少しだけ歩を進めてみたこと。
お香は同じものを使い続けるよりも、違うものをあいだに使うと鼻が覚醒される、という言葉にふむふむとうなずき、インテリアの一部のように使っている松栄堂の「堀川」のルーティーンに「天平」を足してみました。これはとても興味深い効果で、時に違う匂いをかぐと、慣れ親しんでいると思っていた匂いの新しい要素のようなものに気付いたり、残り香を調整するため使う量を変えてみたりと、自分にとってもっとも心地よい匂いについて、考えさせてくれます。

さらに香木そのものをかいで(専門的には「聞いて」?)みたくなり、でも炭を熾して仕立てる本格的な聞香の手間はおっくうなので、小さなヒーターで暖める携帯式の香炉を試してみました。白檀と沈香の小さなかけらそのものから、すぅっと立ちのぼる香り。これは、驚きです。自然のちょっとした偶然の作り出す物質が、暖められるだけでこんなに強い匂いを放ち、それを古代の人が見つけて大切に使ってきたこと、、、。悠久の時間に思いを馳せるきっかけをくれる香り。つい、他の普通の木はどんな香りを放っているのかな?と手に取るすべての木材をくんくんしてしまうような。

鼻をもっと鍛えたら、自分の周りの感覚地図はかなり違ったものになってくるなぁ、という、不思議な予感をくれた本でした。新しい感覚地図と、毎日のデザインの仕事がどう重なるのか?については、まだまったく予測不可能なのですが。

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イギリスのノーフォーク州に住む友人がアルパカを飼い始めたのです。行って、触ってきました。

やわらかい、、、。夏の終わりに一番ふわふわの毛を刈ったところなので、長い毛は頭と足元少ししか残っていないのだけど、ふわふわというよりは、ソフトなベルベットをそうっと触る感じ。毛足は短いけれど、毛の生えている皮膚も柔らかいので手触りがふかふかとあたたかく、、、今まで味わった事のない感触でした。

アルパカはとてもフレンドリーな動物です。彼らの放牧されている草地に入って行くと、こちらを観察しながらゆっくり歩いて近づいて来る。人間を怖がっていないようで、興味深そうにくんくんと臭いをかいだりして周りをうろうろする。なのに、触られるのはあまり好きではないようで、ちょっと首をさわったらすーっと離れて行ってしまったのでした。腕をまわしてハグしたかったなぁ。

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触感というのは、いろいろな想像力をかきたててくれるものなのだ、、、とアルパカに触れて改めて気づきました。

わたしには大好きで触りたくなるものがいくつかあって、、、そのどれも、生きているものの一部なのです。日常的に触れられる距離にあるものは、その持ち主(というか、所在場所?)を大切に守ろうと思うし、わざわざ出かけて行って触れるものは、遠くにあってもその存在がわたしを元気にしてくれ、旅に出る動機をくれる。そうっと触れるわたしの指先がちゃんとなめらかでその対象を傷つけないよう、指の手入れしないといけないし、がさつな触り方にならないよう、まずは呼吸をととのえて、、、などと思ったりする。

「触感」がわたしたちに与えてくれる喜びについて、その楽しみをどうデザインに活かすかについて、もっと考えてみてもいいのかも、と思ったアルパカとの出会いでした。

レトロ・ロンド」はベルギーのフランダース地方の有名な自転車レース「Ronde van Vlaaderen」の地元をヴィンテージの自転車で走るイベントです。

RR01RR02RR03ビール祭りをやっているアウデナールデの街を出発する初心者向け40キロまたは山坂のきびしい70キロの各ルートは、田園を抜け、風車を眺め、農家の庭先や古道具屋カフェで休憩ができる楽しいコースになっていて、いつも走り慣れている人たちが丁寧に計画し、地元の人たちのサポートを受けて作られていることがわかります。

RR04車に積んでベルギーに運んだのはこの自転車、1970年代のフランス Gaidou製レディース用ツーリングバイクです。ギアが10段階切り替わるので、坂道もばっちり。太いタイヤで石畳にも対応。

RR05今までに2度、去年3年前のをこのブログでもレポートしていますが、4度目の参加で石畳を走ることにもだいぶん慣れて来ました。それから、今年はじめてレース用のジャージで走りました。速くもないのに格好だけ決めてるのも恥ずかしい、、と思っていたのだけど、近頃は少しだけツーリング的ふくらはぎになってきたし、やはり快適なので思い切って。

だから、という訳でもないと思うけれど「スタイリッシュなライダー」の3位に選んでもらって、他の受賞者との記念撮影が下の写真です。地域の自転車行政のお役人さん、出発&ゴール地点の自転車ミュージアム館長、市長、ヴィンテージな衣装に身を包んだ牧師さんたちとにっこり。

RR06レトロ・ロンドの翌日は、石畳の急な坂道で有名な場所をいくつか訪れ「ふぇ〜、これを漕いで登るの〜?」とため息をつく。ひとつは「壁」という名前までついた、歩くのも大変な坂道でした。

RR07RR08ここには、日本の地方にも参考になる「リピーターを生むツーリズム」の原点がそろっている気がします。地元の歴史と生活を大事に思っている人たちが集まってささやかではある場所の良さを育て、心地のよい「体験」を訪問者に差し出す。

今回のレトロ・ロンドでも300人近い参加者の半分ぐらいはベルギー外の近隣国や遠くはオーストラリアから来ていたヴィンテージ自転車のファン達で、たくさん素敵な自転車を見て、風を切ってペダルを踏んで汗をかき、ベルギービールでうるおって、にこにこしながらそれぞれの帰路についたのでした。

わたしのベルギー体験の幸せな締めくくりは、このビール・アイス。少しビターで、もう最高。

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