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展示会・exhibition

去年観た展示の中で、3つとても印象に残ったものがあって、そのひとつが21_21デザインサイトで開催中の『活動のデザイン』展です。この展示がどうして重要なのか、ここで書こう、書こうと思っているうちに展示会があと一週間になっていました。来週末が最後のチャンスです。ぜひぜひ、まだ観ていない方は行ってみてください。

One of the best exhibition I have seen in the last year was “The Fab Mind” at 21_21 Design Sight, Tokyo.  I realise this exhibition is finishing next weekend and I hope to let people to not miss it before its ending!

どうしてこの展示が良かったのか、それは今からゆっくり分析して書き足します。ともかく、見逃さないで!というメッセージをここに。

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この、21_21デザインサイトの入り口にもかかってる「ロースさんのセーター」の展示では、会場で放映されているムービーを観てなぜか涙が止まりませんでした。「デザイン」は、こういう事も、そんな事柄にも登場できるのだ、、、ということをたくさんの人に知って欲しいと思います。

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charity box auction

03_Tomoko_Azumi-Birdsong_again in Tohoku

2011年3月の大震災から間もなく、ミラノ在住のデザイナー菰田和世さんから声がかかり、サローネ期に間に合わせるため大急ぎで制作し、現地に持ち込ん だ募金箱を『Charity Box Exhibition』という展示会に出展しました。約60点の作品が集まり、デザインを楽しんでもらいながら募金を集め、非営利団体 L’isola della speranza を通して災地に送りました。その後も世界の4カ所を巡回した展示会の作品が、震災から4年の来年3月11日にミラノでオークションにかけられます。わたし たちの作品は募金をさし込むたびに小鳥がさえずる『Birdsong Again in Tohoku』です。

オークションはミラノのサザビーズで行われますが、世界のどこからでも事前に入札に参加することができます。どうか多くのデザイン・ファンにこの展示会のことを知っていただき、最後の募金がよりたくさん集まることを願ってやみません。

場所: Sotheby’s / Via Broggi, 19  Milano
日時: 11 March 2015
内覧: 10.00-13.00 & 14.00-19.00
オークション開始: 19.00

入札の詳細などはL’isola della speranzaのHPにて追ってお知らせします。
Charitybox_Sothebys_プレスリリース

 

We took part in “Charity Box Exhibition” in 2011, to raise funds to help the Tohoku Earthquake and Tsunami victims.  The exhibition was curated by Kazuyo Komoda and other people in Milano, put together within a month to be shown at Salone del Mobile, and demonstrated the designers wish to help after this exceptional disaster.  On the day of 4 years after the earthquake and Tsunami, donated pieces of the collection of the Charity Box Exhibition are going to be auctioned at Sotheby’s in Milano, including our charity box “Birdsong Again in Tohoku”.

You are able to bid from anywhere in the world – we hope many people will talk about this auction and make the best on the final contribution to people in the Tohoku region who still need our help, 4 years on from the disaster. Please do forward details of this auction to all your friends and colleagues.

venue: Sotheby’s / Via Broggi, 19  Milano
date: 11 March 2015
viewing: 10.00-13.00 & 14.00-19.00
auction starts at 19.00

More information about bidding from abroad will be on website of L’isola della Society soon.
Press Release of ‘Charity Box Auction’

先日ここに書いたエキサイトの「これ、誰がデザインしたの?」を遡って読んでいたら、日本滞在中に見逃してしまったらしい汐留ミュージアムでのウィリアム・ド・モーガン展のことが紹介されていました。

イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動でウィリアム・モリスと一緒に中心的なデザイナーだったウィリアム・ド・モーガンの作品が多数展示されているようです。まとめて見るチャンスを逃したのは、残念。実はド・モーガンのいくつかの作品は身近な存在なのです。

毎朝、顔を洗う洗面台にタイルが2枚、置いてあります。パートナーが何年も前に買ったもので、タイルとほぼ同じ頃に建てられた家によく合っています。キッチンに飾られている絵皿もド・モーガンの作だと知ったのは最近になってからですが、これらはどれも、真ん中で割れていて裏から金属のピンでくっつけてあったり、一部分欠けてなくなっていたりして骨董価値はないらしい。そういう状態のものなら今でも古物屋に出回るらしく、友人宅でもこの色合いの皿を見たことがありますが、どれも装飾的だけれど表情のある動物や鳥がいきいきと描かれています。

スタジオと家のちょうど中間あたりの街WalthamstowにあるWilliam Morris Galleryに行くと、アーツ・アンド・クラフツの家具やタペストリーやガラス器などと一緒に、ド・モーガンのタイルも展示されています。

右下の野うさぎがかわいい。けれど、これは繁殖期にボクシングのような戦いをして、勝った方が力を誇示している図柄らしく、たしかに左の野うさぎは 表情がしょぼんとしています。ここはウィリアム・モリスが生前に住んでいた家がミュージアムとして公開されているもので、ステンド・グラスや内装も残され、当時のたたずまいが楽しめる場所です。

ロンドンの西のChiswickにはド・モーガンのタイルが今も残っているパブ The Tabard Inn があって、近くに行くと寄ることがあります。ここに描かれているへびは迫力です。

前述の「これ、誰がデザインしたの?」の記事ではじめて知った Leighton House はミュージアムになっていますが、現在改修工事中で2010年の4月に再公開するようです。ここにはド・モーガンが監修をし、彼のタイル作品のルーツだった中東のタイルでびっしり装飾された部屋があるみたいで、春になったらぜひ行ってみようと思います。

秋の深まってきた今の空気とド・モーガンの使ったターコイスやれんが色の色調がぴったり合うからか、なんだか芋づる式に興味のわいた記事でした。紹介されていた「Spooks」というテレビシリーズのYouTubeもいくつか観たけど、ロケーションとなったLeighton Houseは確認できず。あと何本か観てみようかな。

1990年に当時の通商産業省、現在の経済産業省が制定したのだそうです。知っていました?

その「デザインの日」にちなんで、今日は久しぶりに本業のデザインについて書こうと思います。ちょうど、先週末にLondon Design Festivalの名のもと、たくさん開催された恒例のデザイン週間が終わったところです。

今年はわたしのスタジオでは「100% Design London」では「TEN-XYZ」というグループ展で鳥小屋をMARKという英国のレーベルからフロアランプを発表し、イースト・ロンドンの Rocket というギャラリーではコーヒーテーブルを展示しました。

「TEN」は2006年にロンドン在住の友人デザイナーが10人集まり「見本市でもサステナブルを語るべきだ!」というスローガンで自主テーマ展を始め、それがその年の「ベスト・スタンド賞」を受賞したので翌年も続き、その翌年にはクラフツ・カウンシルがスポンサーになり、、というような経緯で4年目を迎えた展示です。毎年のプロジェクトやディスカッション、開発の過程などはブログ「TEN.blog」でレポートしています。

今年は東ロンドンにあるデジタル設備のラボ Metropolitan Worksがスポンサーについたので、展示のテーマは「持続可能性とデジタル・テクノロジーの融合」でした。

わたしのスタジオでは、サルベージ・ヤードで見つけた100年前の屋根瓦をラボのウォータージェット・カッターで小さく切り、パイン材をレーザーカットした壁を組み合わせた鳥小屋とえさ小屋をデザインしました。 レーザーカットする時に同時に模様も焼き付けることが出来るので、瓦の歴史を尊重したヴィクトリアン様式やジョージアン様式のファサードを持つ小屋になりました。

英国の西端、コーンウォール州にある MARK は、発足から持続可能性と地域の産業の復興をコンセプトにした家具レーベルです。この会社のために、去年はノックダウンできる小さなテーブルを3種デザインしたのですが、今年はそれにフロアランプを足しました。

背の高いランプですが、これもノックダウンできて細長い薄い箱におさまり、搬送時の環境負荷を減らそうと試みています。これからは、どの企業も製造や搬送のすべての過程で知恵をしぼってエネルギーの使い方を見直すことになるのだと思います。

左端のテーブルは延長コードやアダプターをしまっておくコンテナがついていて、充電用のプラグがハンドルの下からテーブル上にのぞいています。家に戻った時に携帯電話やiPod、デジタルカメラなどをテーブル上で充電するための家具です。

イーストロンドンのRocket Galleryでは「Book a Table」という企画展で、Benchmark Furnitureと共同開発したスタッキングできるコーヒーテーブル「Hexad」を発表しました。

ムクのオーク材を組み合わせた六角形のテーブルで、組み合わせによっては細長いテーブルにしたり面積を大きくしたりできます。

イギリス企業や友人たちとのプロジェクトはこれで一段落しました。この秋は、来年の春の見本市サローネに向けて、あちこち走り回ることになります。

毎日の生活で使う道具は、それによって自分が啓発されるようなものが理想なのでは?と思うようになりました。使っていて妥協がなく機能的なのはもちろん、道具によって動きが洗練されたり、にっこりできたり、気持ちがあたたかくなったり、さらには道具を通じて新しい価値観を持てたとしたら素晴らしいと思うのです。

ホンダの「insight」に乗り始めて1年と少し経ちますが、このハイブリッド車にわたしはずっと啓発されている感覚があります。


なにしろ燃費が良い。これは、その一点のために技術が投入され独特のハイブリッド仕様が生まれたのだから当然だけれど、以前に運転していたサーブと比べガソリン代が三分の一以下になりました。上手に運転すると、リッター25キロ以上走るのです。渋滞の街中ですらリッター17キロより落ちる事はない。

「上手に運転する」というのは肝心で、街中ではこれが燃費の良さを大きく左右します。急発進しない、無理な加速をしない、出来るだけエンジンブレーキを使う、高速でも110キロ以上は出さない、、、などなど。要するに気の急いた運転をやめ、鷹揚にエレガントに運転すると一番燃費が良いのです。車が割り込んできそうな時、以前はアクセルを踏み込んで車間を詰めていたのを、今では「どうぞー」と入れてあげて、速度を落としたぶんバッテリーをチャージする。

2人乗りのコンパクトさも車高が低いデザインも、必要最小限にきりつめられた付属の機能やインテリアすら、すべて軽量化と空力で燃費を上げるためだと思うと説得力があります。サイドミラーを電動でたためなくても、降りて手で押せばカンタンに閉じるのだし。

無駄なものをそぎ落とし、なるべくガソリンを使わない。どんなチャンスも逃さずバッテリーチャージして、そのアシストで少しでも遠くまで走りたい。けれど、スタイリッシュでいたいし、車を走らせる「楽しみ」も妥協したくない。運転するほど、設計者の意図がはっきり伝わるこの車は、間違いなくわたしのものの考え方に影響を与えています。

環境に悪いのはわかっているけれど、ないと不便な車。この「必要悪」を買い替える時、ポジティブな選択が可能だったし、これを選んだことで「意思ある方向」に一歩、進んだ実感がある。毎日、自分の行動を少しずつ気をつければ、積み重なると資源を節約できる事を1/3に減ったガソリン代で体感しているから。

車ですら、一歩進めることは可能なのだから、毎日の行動のたくさんの場面で、環境に良い選択を選びとることがもっとあるのではないか。さらには、デザイナーとしてそういう意図を持って製造に関わったら、使用者に「出来ることはある」というメッセージを送れるかもしれない。

、、、と、この最後のところを話したくて、insightの良さを説明しはじめると、つい運転してていかに楽しいかということを熱く語ってしまって「安積さん、エンスー?」と言われたことがあるのですが、えっと、自分では違うと思っています。ちょっと違いますよね??

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現在、ロンドンのScience Museumで開催中の「Japan Car」展にそのinsightが展示されています。英国に250人いるこの車のオーナーとして、これはちょっと嬉しいですね。原研哉さんがキュレーションを手がけ、阪茂さんが会場構成をしているこの展示会では小ささや環境に配慮した日本の車が展示され、その思想とユニークなアプローチが紹介されています。こうやって一堂に見渡すと、日本の産業が環境問題に先駆け、これからも世界に貢献できる可能性のようなものが見えて来て、勇気づけられます。ちいさなものへの愛と大きなビジョンが一緒に歩む未来。

このinsightは日本ではほとんど見かけなくなっているようですが、来年に発売される新insightは量産仕様のようだから、価格も落ち着いているのかな?車高はプリウスよりもかなり低いようだし、きっと運転の楽しさも先代insightの思想を引き継いでいることと思います。

12月12日より東京のアクシスギャラリーで開催される「バーンロムサイ Under The Tree展」のためにクマに飾り付けをしました。この展示会は、タイのチェンマイにあるエイズ孤児の施設、その運営資金をサポートするのためのチャリティーの一環です。

10体のクマに、蚤の市で見つけた100年前のボタンとヴィンテージの麻布を組み合わせ、胸にエンブレムをつけました。


いろんなクマが集まっている様子が、ジャーナリスト川上典季子さんの書くフィガロ・ウェブのコラムに載っています。

有志が飾り付けをしたユニークなクマたちが10,000匹集まるようです。 きっとお気に入りの一匹が見つかると思います。ぜひ立ち寄ってみてください。展示は12月22日まで。

京都のスフェラビルで展示会を開催中です。

この搬入と仕込み、オープニングやトークのために2週間ほど帰国していました。 会場でお会いできた方、駆けつけてくださってほんとうに嬉しかったです。

今回の展示は、昨年秋の東京デザイン週間中にDesignTideで展示した照明器具「Little Woods」が商品化されたものと、さらに新作の「Glow Lamp」もプロトタイプを展示しています。木漏れ日の冬木立を散歩したときの光と影が重なる感じを照明器具にしようとした、そのきっかけのようなものをこの空間で感じでもらえると嬉しいです。

展示は6月24日までやっています。近くにお越しの際は、立ち寄ってみてください。


オープニングのレショプションのために久しぶりに和服を着せ付けてもらい、日本人のフォーマルには着物が一番なのかも、、とその良さを改めて体験しました。ま、なんというか、年期が入って来たので露出の多いドレスなんかを晴れがましく着れなくなった事もあるけれど、日本人ですもの、伝統の衣装のほうが似合って当然なのかもしれません。これを機に、和装について少し勉強したいと思い始めたり。道のりは長そうだけど。


のびのびとしたドローイング。おちゃめなで色鮮やかな手紙。
人生楽しんでいる感じですね、いいですねー。家にも羽根が付いてる!?と思ったら、ちがった。天使の羽根が家の向こうに見えてるのね。。。


Triennaleでやっていたフランスのカトラリーの会社CHRISTOFLEの展示で。今までここの高級カトラリーを特にいいと思った事はなかったのだけど、こういう感じのコラボレーションだったのか、と見直した。製品の「おおらかさ」というのは、こんなふうにして生まれるのね。なるほど、、、。


今年のサローネでとても面白かったのは、Konstantin GrcicがPLANKのためにデザインした椅子の開発の過程をTriennaleで展示していたもの。

ワイヤーネットで囲んだ工場の中のようなセットになっていて、プラスティックを混ぜて色を作る機械があったり、強度試験のための装置にその椅子が入って砂袋が載せられていたり、ヘルメットやゴーグルなんかを着けるように、という工場によくあるサインがあちこちに貼られたりして、本人も楽しんだな、これは、、という感じ。入り口横に、ちゃんとロッカーがあって作業服が掛かっているし、さりげなく消化器なんかも置かれている。


なにより面白かったのは、紙やフォームで形を検討している原寸の模型から、実際のプラスティックでつくった試作、それがばらばらに砕けている写真など、この椅子の開発のプロセスが実物や写真でふんだんに展示されていること。プラスティックの鋳込みが途中で止まってるのは、粘度と厚みと圧力の関係で素材が端までとどかなかったんだな、、、などと腕を組んで考えてしまう失敗作が堂々と飾られている。見ていてほんとうに楽しいのです。

偉いなー、コンスタンティン。素晴らしい。

デザイナーと工場のこんなやりとりを見るのは、若い人たちだけじゃなく、わたしにもとても勉強になる。
このプロセスを見て、自分もこの技術を使いたいと思うデザイナーが出て来るだろうし、でもこれだけ見せられたら、意地でも違ったやり方でこの技術を使いたいと思うのがデザイナーってもんです。そして、別の今までデザインの表舞台に出て来なかったような加工技術でも、共同作業をして新しい実験をする可能性がまだまだあるのかも、と思わせてくれる。

彼のHPのプロジェクトのトップ「MYTO」に、この椅子の強度実験をしてる映像が出てます。 わわわ!!びよょ〜ん!

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出来上がった椅子が好きか嫌いか、というのはまた別問題で、これは一緒に暮らしたくなるような椅子ではないな、というのがまあ、正直なわたしの意見です。Magisから出ているChair_ONEはスタジオで使ってるけど、あれがぎりぎりかな。

今年もう一カ所、Cassinaから出ていた合板と皮の2脚の椅子、これはアイデアも仕上がりも質感も、どれをとっても完成度の高い椅子でした。こういう仕事をいちはやく見れるのが、ミラノの素晴らしいところですね。真ん中は、 新作の椅子に座ってインタビューを受けているコンスタンティンを撮ったスナップ。今年はヒゲもじゃですね。

ミラノ・サローネが近づいてきました。
今年は3年ぶりに新作が発表になります。

ウーディネからほど近いチビダーレという街の近くの小さな家具会社を初めて訪れたのが2006年の2月だったので、 2年と2ヶ月の開発期間を経て、ようやくのお披露目です。

有名メーカーの下請けをやってきた実績ある木工所が、アジアや東欧に産地が移ってしまって地域の産業が先細りになっていくのを見かねて立ち上げたレーベルのためにデザインし、この地方の伝統の木工、スティーム曲げ加工を使いました。

スローフード運動家のお気に入りの小さなレストランで、地元のハムやワインを味わいながら若い社長がとつとつと語ってくれた地域の自然や食文化の大切さ、家族や従業員の生活を守りたいという願いをかなえるよう、しっかりと売れて欲しいと思います。

展示会の詳細はわたしのスタジオのHPのニュース欄に載せました。このHPもリニューアルして心機一転。久しぶりにミラノに行くのが楽しみな今年の春です。