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Monthly Archives: July 2009

アルベルト・コンタドールの優勝で幕を閉じた今年のツール・ド・フランス。最終日のパリ、シャンゼリゼでは別府史之選手が先頭集団7人の一人で目立っていましたね。おもわず「がんばれ、日本男児!」と応援しました。

ツール・ド・フランスは1903年に始まり100年以上の歴史があるイベントで、21ステージの出発やゴールを誘致しようと、毎年たくさんの都市が名乗りを上げ権利を競り落とすのだそうです。沿線にずらっと並ぶファンといい協賛社の多さといい、宣伝媒体としてだけではなく「自転車文化」が根付いているなぁ、という印象を受けます。フランスやベルギー、オランダなどの津々浦々に延びる自転車専用レーンや使いやすいサイクリング用マップなどは、その文化を支えている。

スプリンターのマーク・カヴェンディッシュが最終日を含む6ステージで1位になったり、トラックレース選手のブラッドリー・ウィギンズ が山岳ステージでも健闘して総合4位になったので、イギリスでの中継やダイジェストも盛り上がっていました。けれど、まだ衛星放送のレシーバーがないと観れないチャンネルだし、自転車レーンは貧弱で危ないし、この国がツール・ド・フランスで優勝者を出すのはまだ先かな?という感じ。

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最近あまり書いていなかったけれど、ほぼ毎週、車の少ない郊外で30キロから50キロぐらいサイクリングしています。

3年続けると少しは脚力もついてきて、最初は押して歩いていた坂を上がれるようになってきた。まずはトウ・クリップをペダルに付けて「立ちコギ」の練習をし、慣れたのでトウ・ストラップに昇格。自転車も最近は軽量のツアー用、フランスBarra社1950年製でライディング・ポジションも少しスポーティーになりました。気を良くして先週末は88キロを走ったのだけど、さすがに翌日お尻が痛かった。長距離を走る時は、パッドの入った専用のウェアを着た方がいいのですね。たいして速くもないのに、レース選手のような格好になるのが気恥ずかしく、普段着に近いもので走ってるのだけど、、、。

ひと月前にはこの自転車で、ベルギーで開催された「Retro Ronde」に参加しました。去年もこのブログで報告したこのイベントは、ツール・ド・フランダースのコースの一部をレトロな自転車とそれに合わせた服装で走るもので、65キロと35キロの2つのコースのうち、わたしは短い方を走りました。65キロのほうは、坂道もきつく石畳の道も多く、わたしにはまだ無理。前日に少し試してみたのだけど、石畳にはなかなか慣れません。

二の腕はぶるぶる震えるし、奥歯はがちがち鳴る。視界がぶれ続け、最後には頭痛がしてきた。でも、ヨーロッパでは伝統的に、ローマ人の発明したこの石畳を好んでレースをしてきたみたいです。まだ道が舗装されていなかった時代には、このほうが走りやすかったのかもしれないけれど。

ツール・ド・フランスの最終日も、シャンゼリゼの石畳を周回してゴールです。21日間のレースで毎日平均150キロを時速40キロのスピードで走り続け、最後にこの石畳を歯を食いしばって走り抜ける若人たち。このレースに向けたトレーニングは相当な量なのだろうなぁ。若者にまざって復活参加し、優秀なチームに護られたとはいえ、3位にくいついたランス・アームストロングもやっぱりすごい!今年はドーピング騒動もなく(あれは興ざめだったものね)最後まで手に汗にぎって楽しんだ。

連日の観戦で元気をもらい、わたしもまだまだ、、、諦めないで地道にサイクリングを続け、いつかはRetro Rondeで坂道の65キロコースに挑戦したいな、と思ったりするのでした。

AXIS誌135号(2008年10月号)の「本づくし」のコーナーに掲載された記事がオンラインで読めるようになりました。

グッド・ニュース』の著者、デヴィッド・スズキはカナダで有名な日系人のTVプレゼンターで「あなたが世界を変える日」として名高い、1992年の環境サミットでスピーチをした「12歳の少女」セバン・カリス-スズキの父でもあります。

17年も前に、12才の少女がこんな発言をして集まった各国政府関係者が深く感銘を受けた。なのに、現在それを政策にまともに反映させているのはドイツと北欧各国とキューバと、インドの中の少数の自治州くらいである、という事実には正直、落胆してしまいます。その17年はそのまま、わたしがロンドンで暮らしてきた時間でもあります。最初は学生で、卒業してからは自分の生活を成り立たせるためにジタバタしていた、、、というのは言い訳で、環境問題を頭の片すみで知りつつ、最近まで積極的には何もしなかったのはいったいどうしてだったんだろう?と自問してみる。やはり、問題があまりに大きくて何から手を付けていいのか分からず、自分の非力さを感じていたのだと思います。

でも、時代は確実に変わってきている。すぐに行動に移さないと手遅れになるとたくさんの人が思っている今、この本が多くの人に「何ができるか」について考えるきっかけを与えてくれることを願わずにいられません。

I read this book, ‘Good News for a Change’, and wrote a book review for AXIS magazine vol. 135, October 2008.  The article is now on-line, so I want to introduce it to my blog readers.  One of the authers David Suzuki is an environmental activist and father of Severn Cullis-Suzuki, who made a famous speech at UN Earth Sammit in 1992.  I learnt a lot from this book, gave me hope on what we can start to do something for the earth and ourselves.

前回紹介したルーオン近郊のマナー・ハウスは、華美すぎないセンスの良さが気に入っている旅行評論家の本がサイトになった「Alastair Sawday’s」で見つけました。

このサイトでは最近はEthical Stay、Ethical Travelという観点で編集がすすんでいて、特に有機農場や地域の食文化に貢献している宿を積極的に紹介しています。

フランス中央部の都市Bloisから南に10キロほど下った平野に点在する農場の一つがゲストハウスとしてそのサイトで紹介され「地域の農場の生産する卵やヨーグルトを味わえるオーガニック料理が楽しめる」 とあったので予約してみました。ここは、なかなか楽しい滞在になりました。車がないと難しいかもしれませんが、GPSを積んでいれば、目立った特徴のない平原の農場でもちゃんとたどり着きます。

ロワール川に沿った平野の一角、畑や林やワイン農場の広がる一帯。古城やサイクリング・ルートなど、観光の拠点としても良い立地。家主のソフィーは英語も堪能で、地図やパンフレットもバイリンガルで用意されています。もと農機具置き場だった小屋が2室のゲストハウスとして改装され、部屋は質素だけれど清潔。そしてなにより、ホストとしてのソフィーがすばらしく、友人宅に招かれたような雰囲気と手料理。猫好きにはたまらない、目つきの据わった「ギャロッパ」がみゃー!と迎えてくれます。

まずは庭でナッツをつまみながら自家製ワインの食前酒を飲み、もう一室に泊まっている客と一緒にリクエストしていた「ノン・ベジタリアン」の季節料理を楽しみました。 ホロホロ鳥と野菜のスパイス蒸し料理。ソフィーが毎年作っている、庭で採れるレモンのピクルスが料理に使われていて、あまりに美味しくてピクルスのレシピを書いてもらったり。

朝食には近所の農園で作られるフレッシュ・クリームやオーガニックの蜂蜜が庭で摘まれたばかりのベリーと一緒に出され、フランスの普通の家庭がふつうに味わってきた食文化に触れ、その素晴らしさをたらふくお腹に詰め込んだのでした。 ふくろうの鳴き声を聴きながら眠りに着き、近所の農園のニワトリの声で目覚める。都市部ではなかなか味わえない、素敵な体験でした。

ここのところ、旅行づいています。仕事での旅だと、出張先に便利なホテルに泊まるけれど、ホリデーでの滞在にはゲストハウスが気に入っています。

普通の家や農家が少し改装された宿泊施設で、ほとんどが1部屋とか多くて3部屋ぐらい。メールで予約しておいて、到着すると家主が出てきて握手して、まずはドリンクをすすめられ庭のテーブルで冷えたビールを飲む、そんな宿です。


フランスのノルマンディー地方の都市ルーアン(Rouen)のはずれの村に、お気に入りの宿があって2度目の滞在をしました。かつての領主邸が趣味よく保存され、子育ての終わったマダムがゆったりと出迎え、素晴らしい朝食を用意してくれる場所。ゲストルームもバスルームも広々と清潔で、この地方の特産だったプリント地の綿で内装されています。


窓からは草を食む馬が見え、庭に咲くバラが部屋とダイニングに飾られる。

朝食の席では別の宿泊客と一緒になり、そこから訪れた場所の情報交換などできて、これも楽しい。オーガニックのヨーグルトを楽しみ、お手製のジャムをまだ暖かいクロワッサンに載せて食べる。あぁ、幸せ。

心からくつろげる場所ですが、唯一の難点はマダムがフランス語しか話せない事。英語でゆっくり話すとわかってもらえて、マダムもゆっくりとフランス 語で答えてくれる。わたしのパートナーはフランス語が少し分かるので、これで会話が成り立つのだけれど、わたし一人ではちょっと無理。でも彼女はとても親切に、ミュージアムの開館時間をネットで調べてくれたりするのでした。

館の周りには森が広がっていて、時々ふくろうが鳴いたりします。夕暮れ時にこの森を散歩できるのも、楽しみのひとつです。