今年の1月に、スタジオの裏庭にコンポストの場所を作った。「コンポスト」とは、畑作りなどに使う有機堆肥のことです。
フタつきの、逆さまにしたブリキのバケツみたいな容器がコンポスト・ビンです。底板はなくて中のものが直接土に乗っているので、ミミズは底から自由に出入りできる。ここに、キッチンで出る野菜くずや再生紙の卵の箱、段ボールの切れ端、植物の葉を刈ったりしたものをどんどん入れて時々かき混ぜると、バクテリアの働きで分解され、7〜8ヶ月後には栄養たっぷりの土になる。底の右手にあるドアみたいなのを上に引いて、出来た土を底からかき出す仕組み。
これは、画期的です。
なにしろ、ゴミが減った。以前は週に2回はくくって出していた20リットル袋のキッチンのゴミは、なんと4分の1に減った。今では2週間に1回しか出さないので、夏場は臭くなるから容量の小さいものに替えようと思っている。よい土をつくるためには「茶色系」の紙や枯れ葉を生ゴミとほぼ同量混ぜないといけないので、トイレットペーパーやキッチンペーパーの芯もすべてちぎって入れる。コーヒーのかすやお茶の葉、ティーバッグもここへ。郵便物の封筒や梱包材も、漂白のされていないものはここへ。
野菜の洗い方も変わった。せっかく野菜についてくるオーガニックな土が下水に流されるのがもったいないので、にんじんやじゃがいもはまずピーラーで皮を剥いて、土のついた皮をコンポスト行きの紙バッグに移してから、水洗い。
気温の低い冬場はあまり生物分解が進まないので、あっと言う間に「素材」がビンの中に積もり、これだと2台目がすぐに必要になるなあ、、と思っていたら、気温が緩むとビン全体が発酵、分解の熱で温もり、中味がぐんぐん減り始めた。分解が進んで完全に土になる頃には、容量が元の素材の75分の1になるのだそうです。ビンの中は臭くなる事はなく、湿った土の匂いがしている。
そして先日、ようやく土になったこの肥料を使い始めたのです。中庭で育っているトマトとかぼちゃの鉢に、この土を足してみた。 栄養価のほどはまだわからないけど、今まで焼却場まで運ばれて燃やされていたゴミが、こうやって微生物の力を借りるだけで「使える土」になる、自然の循環システムは素晴らしいなぁ、と思う。
わたしのスタジオに来るインターンシップには、スタジオのHPからリンクがあるコンポスト・ガイドを読むように伝える。だって、知らないで野菜を大きいまま放り込んだり、チーズのかけらを入れたりしたら困るのもの。
ある記事に、コンポストの栄養バランスを整えるよい素材のひとつは「髪の毛」とあった。排水管のつまりが心配で、今までも抜け毛は流さないで集めていたので、これをコンポストに入れてみる事にした。こうやって有機肥料に足すなら、薬剤を使ったヘアカラーはもうやらないほうがいいかな、、、。でも、そこまで考えるなんてちょっとマニアック?と我ながら思ったのでした。
野菜を育てている人には、分かってもらえるでしょうか?安全で元気なのを育てたいですものね。写真は鉢植えのプチトマト。夏が終わる前に、赤くなれ〜。