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Monthly Archives: May 2008

新緑の京都で「河井寛次郎記念館」を訪れました。

表からは京都の町家に見えるけれど、中は深く広く、住居とスタジオと作業のための中庭と、素焼き用の竃、そして奥の傾斜に沿って登り竃がある。氏が当時仕事をして家族が暮らしていた様子そのままに保存してある貴重な場所です。


住まいと仕事場を心地よく区切る中庭。そして迫力の登り竃。手前から2番目の室から、数多くの作品が生まれたそうです。


素焼きされた陶器に釉薬をかける作業をしたスタジオ前の中庭。並んだ壷の中に釉薬。

住居部は飛騨の合掌造りの内部を思わせる、吹き抜けのあるどっしりした空間。建具や家具のディテールに民芸の重量感と京都の繊細さが同時に息づいている。


実は大学院生だった14年前に一度行っているのだけど、ほとんど印象に残っていなかった。今回あまりに感銘を受けたので「すでに28才にもなっていたわたしは、どうしてこの良さが分からなかったんだろう?」と呆れたり。たぶん、「暮らす」ことと「仕事をする」ことが一緒になっているこの心地よさを、建物の細部まで気を配ったこの住まいの暖かさを、理解してなかったのですね。若かった、、、。

河井寛次郎や浜田庄司の重厚な陶器があまり好みでない、というのは今でも正直なところなのですが、今回の訪問でそういう作品や民芸の運動の後ろにある、日々の生活を大切にする彼らの思想に触れました。バーバラ・ヘップワースのスタジオと自邸、仕事場と融合した庭などを見て受けた印象と、似ている気がします。

京都のスフェラビルで展示会を開催中です。

この搬入と仕込み、オープニングやトークのために2週間ほど帰国していました。 会場でお会いできた方、駆けつけてくださってほんとうに嬉しかったです。

今回の展示は、昨年秋の東京デザイン週間中にDesignTideで展示した照明器具「Little Woods」が商品化されたものと、さらに新作の「Glow Lamp」もプロトタイプを展示しています。木漏れ日の冬木立を散歩したときの光と影が重なる感じを照明器具にしようとした、そのきっかけのようなものをこの空間で感じでもらえると嬉しいです。

展示は6月24日までやっています。近くにお越しの際は、立ち寄ってみてください。


オープニングのレショプションのために久しぶりに和服を着せ付けてもらい、日本人のフォーマルには着物が一番なのかも、、とその良さを改めて体験しました。ま、なんというか、年期が入って来たので露出の多いドレスなんかを晴れがましく着れなくなった事もあるけれど、日本人ですもの、伝統の衣装のほうが似合って当然なのかもしれません。これを機に、和装について少し勉強したいと思い始めたり。道のりは長そうだけど。

今日はアシスタントにキッシュの作り方を教えてもらいました。冷蔵庫にコジェット(ズッキーニ)が3本もあったので、これを有効に使おう!と思い立ち。


あの生地というのか、下に敷かれているパイ地みたいなのが難しいのだと思い込んでいたんだけど、案外カンタンでした。バターが溶けないように素早く、さくっと混ぜる!というそのスピード感が面白かった。こういう「粉もの」は初めてだったので、日頃使わない手の筋肉を使ったなあ、という感じ。なんというか、使い慣れた筋肉だけを使うようになってはダメだなあ、、なんて思いながら。


ローラーで延ばし、皿に敷き込んだ後しばらく冷蔵庫で寝かした生地にフォークで穴を開けて、別に炒めた具を入れ溶いた卵を流し入れ、オーブンに。30分後に出来上がり。


今日は暑いくらいの天気で、スタジオに面した中庭に椅子を出してランチをした。真ん中が、今日の先生のバーバラ。デザイナーになる前に、中学校で料理とクラフトを教えていたことがある人。 わたしのスタジオは、みんなが一芸を持っていて、多才です。そして皆、しっかり「生きる」ことに関して、わたしよりよっぽど経験と知識がある。毎日、教えてもらうことばかりです。


パートナーが所属している「veteran cycling club」の集まりで、海外からの参加者を観光案内しつつ、古い自転車ばかり20台でロンドン市街をサイクリングしました。朝はセントポール寺院に集合。ペニー・ファーディングと呼ばれる、前輪が大きくて後輪が小さい1880年代の自転車も6台参加。ほとんど観光アトラクションみたいな集団で列を作ってタワーブリッジを走り抜けたりするのはなかなか楽しいものでした。


こういうイベントで乗るわたしの自転車はこれ↑。イギリスのSpark Brook社、1907年製。相当錆びさびだったのを、パートナーがリストアしてサドルとタイヤも替えてくれた。これが、驚きの乗り心地の良さなのです。背筋が伸びたポジションで、シングルギアなのに坂道でもとても軽い。快適さでいうと、100年前に自転車はすでに「完成」していたのかもしれない。


バッキンガムパレスで衛兵交代を観た後ハイド・パークに向かう。左の黄色いペニーに乗ってるのはドイツ人、右のおまわりさんのコスチュームはアメリカ人。でも、観光客にはロンドンの風景に見えるかも。


あちこち走って、夕方にはシティのパブでビールを一杯。古風なパブには古い自転車が似合う。

ちょうど2年前の今頃、すっかり忘れてた自転車にふたたび乗り始めました。

時間がかかったけど、ようやく慣れてきて、街中で乗るのもあまり怖くなくなった。イギリスでは自転車は車道を車と一緒に走るので、最初はかなり緊張したけど。ロンドンの街中では、運転手に良く見えるように蛍光色のジャケットを着て、ヘルメットをかぶって、今でもちょっと肩には力が入っていると思う。

なんといっても楽しいのは、車の少ない郊外をサイクリングすること。今日は少し風があったけど、暖かくなった田園を40キロほど走りました。


ブルーベルはピークを少し過ぎたかな。


昼食をとったパブの裏庭にカモが遊びに来ていた。今日のわたしのサイクリングの友、モールトンAM7です。こっちの自転車は大きくてなかなか乗れるサイズが見つからないけど、これならばっちり。 サドルはユーズドで見つけたブルックスです。今日はあちこちで一面の菜の花を見た。漂う香りも濃厚です。


自転車を始めようかな、と思っている人には、車の少ないカントリーサイドから始めるのをおすすめします。そして、最初は走り慣れている人に安全に走るコツを教えてもらうといいと思います。いろいろ、覚えると便利な道や作法があるから。わたしには3人師匠がいて、彼らからいろいろ教えてもらった。最初はわたしに合うサイズで性能のいい自転車の存在を教えてくれ、ハンドルはこれが乗りやすくタイヤはあれがパンクしにくく、頑丈なロックはこのタイプ、、、とオーダーのためのスペックを作ってくれたわたしのアシスタントと、売り場まで付いて来てくれたその彼女。彼らの助言なしには、そもそも自転車に乗り始めてないと思う。そして3人めは、古い自転車のコレクションが趣味の今のパートナーです。ちょうどオーダーした自転車が届いた頃に出会い、いろんな場所をサイクリングして自転車の魅力を教えてもらった。

この2年ですっかり自転車にハマって、週末は天気が良くても悪くても出かけるようになった。雨の中を走るのは、ちょっと修行っぽい。 なにやってんだか、、、とその時は思うのだけど、後で妙にすがすがしいのです。

自転車に乗るようになって、わたしは季節の移り変わりを肌で感じるようになった。さらに、近所の様子を以前よりも観察するようになったし、何が市街の交通やひいては行政の抱える問題なのかを考えるようになった。そして、自分の力で漕いで移動する、という体験を通じて、エネルギーの使われ方のことを考えるようになった。

そう。自転車はわたしにとって、どこに行くにも車を運転して資源を浪費していた、あの生活を変えるきっかけだったのです。
たかが自転車なのに。
なにしろ、気持ちいいからね。気持ちいいのが、いちばんですね。

I started to cycle about 2 yars ago. I had totally forgotten about this joy, feel movement of air and smell seasonal aroma – especially in countryside. I started to retrieve this nice feeling, to know that I can transport myself in energy efficient way.

Then I started to re-think about my way of living – I used to drive everywhere, paid huge on parking and congestion charge on top, wasted energy in my studio and home. I started to watch my energy consumption in every dimension of my life.

Yes, bicycle was the entrance to a change, a big change for me. This change is comfortable and rewarding.

サウス・ケンジントンにあるVictoria & Albert Museumの2階にWrought Iron(錬鉄、または鍛鉄)のコーナーがあります。とても好きな場所。


鉄で出来た門扉とか窓の飾りは、もともとは防犯のためだったと思うけど、なんというか優雅な実用装飾ですよね。昔のものはまた、ざらっと錆びているような表面のテクスチャーが美しい。

街で見かけるこういう装飾もいいけど、こうやって美術館の一画に並ぶと、工芸品としての美しさが見えてくる。ここに来ると、どうしてこんなに落ち着くのかなぁ。

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このV&Aの鉄コーナーが好きな人には、もう一カ所おすすめの場所が。フランスのノルマンディー地方の首都ルーアンにある、Musée Le Secq des Tournellesにぜひ、行ってみてください。すごいです。4世紀から19世紀までの鉄製品が12000点集められた博物館です。特に鍵のコレクションが素晴らしい。

わたしはここでは、あまりの数の展示品に落ち着きをなくし、わーわー言いながら、コルク栓抜きとか折りたたみのカトラリーとかを丸一日かけて眺めました。